痛風
高尿酸血症(痛風)とは
高尿酸血症は、血液中の尿酸値が高い状態です。高尿酸状態が続くと血液中の尿酸が鋭い針状の結晶になって関節などにたまり、炎症を起こして激しい痛みを生じる痛風発作が起こります。ただし、高尿酸血症でも痛風発作を起こさないケースもあります。
プリン体と高尿酸血症
尿酸は、プリン体が肝臓で代謝されてできる物質で、通常は尿として排泄されます。プリン体が多く含まれる食物を習慣的に多くとると高尿酸血症を発症、進行しやすくなります。魚卵、あん肝、白子、カツオ、レバーなどの内臓や干物・乾物といったプリン体が多い食品を控えることも大切です。またビールだけでなく、アルコール含有飲料は全て尿酸値を上昇させるため、飲酒は控えめにしましょう。
痛風の症状
主に足の親指の関節に起こることが多く、他に膝などに起こることもあります。主な症状は患部の激痛、赤み、熱感、腫れです。最初に違和感を覚えることが多く、徐々に痛みが強くなります。1~2日で痛みがピークになり、激痛で歩行どころか患部を動かすのも困難になります。数日経過すると少しずつ痛みが緩和していって、2週間ほどで完全に治まります。尿酸結晶が腎臓に沈着すると腎機能が悪くなることもあります。
高尿酸血症(痛風)の治療
尿酸値を下げることが重要です。食事や飲酒などの生活習慣を改善することが最も重要です。薬物療法が必要な場合は、急激に尿酸値を下げると痛風発作を起こすことがありますので、慎重にコントロールしていきます。
生活習慣の改善
カロリー制限、節酒、こまめな水分摂取(1日2リットル)。適度な運動、ストレスの上手な解消などを行っていきます。なお、激しい運動は痛風発作を起こすきっかけになりますので、避けてください。
水分摂取は、尿酸結晶を溶けやすくして排泄するために重要です。甘くない水や薄いお茶などをしっかりとるようにしてください。また、尿をアルカリ性にすることも尿酸の排泄に役立ちます。海藻、緑黄色野菜、根菜、豆類などを食事に取り入れるようにしましょう。
薬物療法
痛風発作が起こった際には、患部を冷やし、安静を保ち、飲酒やプリン体の多い食事を避けることが症状改善に役立ちます。また、発作の痛みがある段階で受診された場合には、痛みを緩和させる治療を行います。何度か痛風発作を起こしている場合、予兆や初期の段階で服用すると効果的なコルヒチンも処方できます。コルヒチンでは効果が見込めない場合には非ステロイド系抗炎症薬や副腎皮質ステロイド薬などによる治療を検討します。
尿酸値が高い場合や痛風発作を起こした場合には、尿酸の合成を抑制する薬や尿酸の排出を促進する薬による薬物療法が必要になります。痛風発作で症状がある間はこうした治療を行うと症状を悪化させることがありますので、症状が落ち着いてからはじめます。薬物療法で尿酸値が下がってからも、薬物療法を中止すると発作が再発することがあるため、しっかり服薬を続けることが重要です。
よくあるご質問
痛風発作があるときは尿酸を下げるお薬がつかえない?
痛風発作の際に、高尿酸血症の治療薬(アロプリノール、フェブリク®、ベンズブロマロンなどの尿酸の生成阻害・排泄促進薬)を新規に開始すると痛風発作が悪化することが知られています。しかし、もとから高尿酸血症の治療を行っていた上での発作であれば、高尿酸血症の治療薬は続けていただいても悪化することはありません。発作を抑える薬とともに継続してください。当院では痛風発作を抑える薬として、非ステロイド性抗炎症薬(ロキソプロフェンなど)、プレドニゾロン、コルヒチンなどを患者様の合併症や状態により使い分けております。安心してご相談ください。